お知らせ・小田原歯科便り

2015年4月

2015年4月の記事一覧です。

唾液の力


こんにちは、虫歯予防・歯周病予防に努めている鹿児島市小田原歯科の副院長の前田です。

 

桜の季節もいつしか過ぎ、葉桜の季節となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

当院も3名の新しいスタッフを迎えて、ようやく人員不足が解消され、いよいよ木曜診療がスタートします。

 

 

さて、今回お話させていただきますのは、ズバリ「唾液」についてです。

唾液と聞くと、ちょっと汚いとイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、何を隠そう私たちが生きていく上で必要不可欠なものなのです。

 

ここで、唾液の主な作用をご紹介していきます。

 

1) 潤滑作用・湿潤作用

お口の中には、硬い歯とやわらかい粘膜が同居していますが、しゃべったり、食べたりしても傷つかないのは、唾液がお口の中を潤しているからです。

 

2) 消化作用

唾液の中には、消化酵素のアミラーゼが含まれています。アミラーゼは、糖質を分解し、体内に吸収しやすい状態にする酵素です。

 

3) 咀嚼(そしゃく)・嚥下(えんげ)作用

唾液との混和で適当な食塊ができるため、飲み込みやすくなります。

 

4) 生体防御のはたらき

人体で外に開いている部分(お口、目、鼻など)には、外から侵入してくる細菌などを防ぐ役割をしている生体防御機能がはたらいています。唾液に含まれるリゾチームは、その役割をするもののひとつで、抗菌作用を持った酵素です。
リゾチームは唾液だけでなく、涙や汗、リンパ腺、鼻粘液、肝臓、腸管など生物体内に広く分布していて、いろいろな細菌感染から生体を守り、生命維持に欠かせないものです。
また、唾液に含まれるムチンなどは、菌を凝集させ、菌塊とし、口内から排出するはたらきをしています。

 

5) 味覚

私たちは、主に「甘味」・「酸味」・「塩見」・「苦味」・「うま味」といった5つの味を感じとっているので、毎日の食事を楽しむことができます。これは、食べ物に含まれる味物質が、唾液の中に溶け込み舌の「味蕾(みらい)」と呼ばれる味覚受容器に届けられることで、味を感じることが出来るからです。
しかし、唾液がないと、潤滑作用がなくなって舌がこすれて味蕾がなくなったり、舌炎を起こして味蕾がはたらかなくなったりします。また、味物質もきちんと味蕾に届かなくなります。つまり、唾液がなければ、私たちは食べ物の本来の味が分からなくなるという「味覚障害」に陥ってしまうのです。

 

6) 洗浄作用・自浄作用

唾液は、お口の中を洗い流す役目を果たします。だから唾液の分泌量が少なくなってしまうと、お口の中が汚れやすくなり、むし歯にかかったり、口臭が出たりしやすくなります。

 

7) 緩衝作用

唾液中の重炭酸塩のはたらきによってお口の中のpHを中性に保とうとするはたらきのことをいいます。特に、飲食後はお口の中が酸性に傾きがちです。酸性の状態が長時間続くと、歯が溶けてむし歯になりますが、唾液の持つ緩衝作用によってお口の中をいち早く中性に戻すことで、歯が溶けて、むし歯になるのを防ぎます。ですから、中性に戻す能力が低い唾液を持つ人はむし歯にかかりやすいといえます。

 

8) 再石灰化作用

むし歯菌が出した酸によって歯のカルシウムやミネラルが溶けだしますが、唾液にはカルシウムやミネラルを歯に補充し、修復するはたらきがあります。これを再石灰化作用といいます。この再石灰化作用が弱い人はむし歯にかかりやすいといえます。

 

 

以上が唾液の主な作用です。

すでにお気づきの方もいらっしゃると思いますが、この唾液の力の強さによって、むし歯にかかりやすい人と、かかりにくい人がいらっしゃいます。
もちろん、むし歯になってしまう原因には唾液だけでなく、食生活や個々人の持っているむし歯菌の数(むし歯菌は赤ちゃんの時に周りの大人から感染します)が密接に関係しています。

 

 

 

 

ここで朗報ですsign01

 

当院では唾液検査をすることで、個々人がどれだけむし歯になりやすいのか、または、どれだけむし歯になりにくいのかを判定することができます。これまでのように、経験的に「あなたはむし歯になりやすいですね」ということではなく、はっきりと何パーセントの確率でむし歯になってしまうということが分かってしまいます。

そして、むし歯にならないためにどう行動すれば良いのかが個人レベルで分かってしまいます。

今までご自分では気を付けてきたつもりなのにむし歯が多いと悩まれてきた方や、お子さんをむし歯にしたくないという方はぜひ、唾液検査をおすすめします。

 

では、今回はこのへんで失礼します。